大会社の子会社は中小企業向けの優遇が受けられないこととなりましたが、この概要について教えてください。
平成22年度税制改正により、平成22年4月1日以後に開始する事業年度から、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度(いわゆる中小企業向け特例措置)については、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人等(注)には適用されません。
(1) 軽減税率
普通法人の各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率の適用はなく、一律30%となります。
(2) 特定同族会社の特別税率(留保金課税)の不適用 留保金課税が適用されることとなります。
(3) 貸倒引当金の法定繰入率
一括評価金銭債権の貸倒引当金の繰入限度額の計算において、法定繰入率の選択は行えず、貸倒実績率により計算することとなります。
(4) 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
定額控除制度の適用はできず、支出する交際費等の額の全額が損金不算入となります。
(5) 欠損金の繰戻しによる還付制度
解散、事業の全部の譲渡など一定の事実が生じた場合の欠損金を除き、この制度による還付の請求は行えません。
(注) 100%子法人等とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等による完全支配関係(一の者が、法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係をいいます。)がある普通法人をいいます。したがって、100%子法人に限らず、大法人による完全支配関係がある普通法人のすべてについて、中小企業向け特例措置の適用はありません。
なお、平成23年4月1日以後に開始する事業年度からは、完全支配関係がある複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人についても、中小企業向け特例措置の適用はありません。