最近の相続税の連帯納付の義務の改正について – 1 Minute News
小嶋税務会計事務所メールマガジン「1 Minute News」No.59(2012年12月1日発行)
Q.相続税の連帯納付の義務とはどういった制度でしょうか?この連帯納付の義務の制度が平成23年と24年の税制改正で 変更になったそうですが、変わった点を教えてください。
相続人がきちんと自分の分の相続税を納付していても、別の相続人が未納付だと、ある日突然、別の相続人の分の相続税、場合によってはさらに多額の延滞税を追加で負担させられることがあり、従来から「不意打ち」との批判がありました。最近2年間の税制改正では、この部分が改正されました。
1.相続税の連帯納付義務とは?
相続税の連帯納付義務とは、同じ被相続人から財産を取得した他の相続人がいる場合、ある相続人が相続税の納付を行っていない場合、他の相続人は相続で受けた利益を限度として他の相続人の未納の相続税を納めなければならない義務を負っています。これを連帯納付義務といいます。
2.連帯納付義務履行の延滞税の見直し
相続税の連帯納付義務者が連帯納付義務を履行する場合に負担する延滞税率は、改正前は最初の2ヵ月間は4.3%、2ヵ月間経過後は14.6%と非常に高利率でしたが、平成23年4月1日以後の期間に対応する延滞税については延滞税に変えて、利子税(4.3%)が適用されることとなりました。
3.連帯納付義務の解除
平成24年4月1日以後に申告期限が到来する相続税について、申告期限から5年を経過した場合及び納税義務者が延納または納税猶予の適用を受けた場合には、相続税の連帯納付義務が解除されることとなりました。ただし、申告期限等から5年を経過した時点で連帯納付義務の履行を求めているものについては、その後も継続して履行を求めることができることとしています。
※平成24年4月1日時点で滞納となっている相続税についても、上記の改正と同様の扱いとします。
今回の税制改正で、本来相続税を納付すべき者が納税猶予または延納の適用を受けている場合や申告期限から5年を経過した場合には、基本的に連帯納付の義務を心配する必要がなくなりました。しかし、納税猶予や延納の適用を受けていない場合で、申告期限から5年間経過するまでは、他の相続人の分の相続税の納付義務がありますので、相続が発生した際には被相続人の財産だけではなく、全ての相続人の財産状況についても気を配る必要があります。
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