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中国子会社に出向者を出すと日本の親会社が課税される? – 1 Minute News

小嶋税務会計事務所メールマガジン「1 Minute News」No.44(2012年4月15日発行)

Q.日本の親会社が中国にある自社の子会社に出向者を出している場合、その出向者自身が日本の親会社のPE として認定されるリスクがあると聞きましたが、これをどういうことでしょうか?また、PE 認定されないためには、どうしたらよいのでしょうか?

解説

PE とはPermanent Establishment(恒久的施設)の略で、事業を行う一定の場所のことです。国際課税の原則として、事業所得に対してはPE がなければ課税しないというものがあり、通常中国に日本の親会社の事業拠点はありませんので(あくまでも存在するのは別法人としての子会社)、日本の親会社は中国で課税されないのが原則ですが、出向者自身が日本の親会社のPE として認定されて、課税されるケースが、特に中国で多くなっています。

1.PE として認定されるもの

任意の12 か月のうち、6 ヵ月を超えてコンサルティングなどの役務の提供をしている場合は、PE として認定されます。通常の出向の形態は下記のような図になっており、日本の親会社から見たら単なる出向者の派遣としか映りません。

これに対し、中国側は日本親会社が出向者を通じて役務提供していると考え、出向者を日本の親会社のPE とみなして、課税する場合があります。

2.PE 認定された場合の課税

出向者が日本の親会社のPE として認定された場合、日本の親会社は中国で25%の企業所得税と5%の営業税が課税されます。

3.PE 認定されないための対応策

出向者はあくまでも中国子会社のための業務に従事しており、中国子会社の管理下にあることを示すことが大切です。具体的には以下のような対応が必要です。

①出向契約書・雇用契約書等の整備…人件費の負担は日中どちらが負担するかなど明記する。
②中国側の組織図…出向者の名前を記載し、中国子会社の一員であることを示す。
③出向者の人件費…中国子会社が実質的な負担者となるようにする。
④出向者の業務内容…中国子会社の指揮・命令のもと業務に従事しているようにする。

要するに

日本から出向者を中国に派遣することはよくありますが、中国側で出向者が日本の親会社のPE だと認定されて、日本の親会社が課税されるケースがよくあります。これを防ぐうえで、契約書等の形式面だけではなく、給与の負担、実際の業務内容などの実態面をともに整備することが大切です。

 

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